デル戦未来話(in三千世界の鴉を殺し)、書いてみました。
妄想の神様が降りてこられたので、ネタが一気に固まりました。ありがたやありがたや。
ところで現在原作が手元にないので分からないのですが、バーミリオン空港が爆破(ルシファードとライラがテレポートした話)は何巻になるのでしょうか?
宜しければ誰か教えてくださいませ。
***
私が全面的に悪かったです。
だから神様仏様ラー一族の皆さん、どうか時間を巻き戻してください。
私とレティシアがバーミリオン基地付属病院に配属されて、一ヶ月が立った。
最初は突然の時期の赴任で不審がられたり軍属になるため色々規則を覚えたりと目の回るような日々だったが、お互い脅威の順応力で何とか乗り切ってみせた。
ちなみに、私は外科、レティシアは内科に配置。
……実は正直、レティシアが小児科とかで医者をやることになったらこれ以上ない悪夢だと思っていたのだが、最悪の事態は免れたらしい。なったらなったで見てみたい気もするが。
まぁそれはともかく、広大な宇宙のどこに行ったところで研修医というものに『勤務時間』『最低賃金』『土日休暇』の四字熟語が存在するはずもなく、それはそれは素晴らしく長かった(何しろ一月近くかかった)移動時間を無理矢理取り戻すかのようにガツガツ酷使される日々を楽しいと満面の笑みを零すか、このやろてめぇ殺す気かと胸倉掴むかは自由だと思う。私は最近後者になってきた。
話は逸れたが、私の指導医はサラディン・アラムート外科主任だ。
どうして一介の研修医の指導に主任がつくのか、とかは突っ込んではいけない。上からのお達しでお目付け役とか監視役とか色々あるのだろう。やはり定年退職前に少々お灸を据えてやらねばならないようですねあの腐れ守銭奴、などという言葉は聞こえなかったったら聞こえなかった。
この青緑色の髪に焔色の瞳をした、私の人生でもトップスリーをも争うとんでもない麗人は、美人でサドで人体解剖が三度の飯より大好きという、ちょっと(?)危ない人だ。しかし仕事の速さと正確さでは共和宇宙一かもしれない人に師事できるのは、素晴らしい幸運だ。親切で優しいヤブ医者よりも、根性悪でも天才医師の方がずっといい。
この有能で厳しく美形なアラムート主任は、何故か私の目を――眼球を気に入ったらしく、初対面から『防腐液とプラスチック処理では、どちらが好きですか?』と真剣な眼差しで尋ねられたことがある。とりあえず代々死んだら火葬なので勘弁してくださいと答えたが、多分あれはアラムート主任なりのジョークだったのだろう。時々ホルマリンの配合表を見ながら考え込んでいるのは絶対目の錯覚だ。
話は逸れまくったが。
つまり最近、私はちょっとばかり疲れていた。
そのため、人間としての最低限の礼儀――つまりノックを忘れてしまったのだ。
「失礼しますアラムート主任、2018号室の患者さんが人工心肺の同意書に――……」
白衣の麗人に押し倒されている黒髪の美丈夫。
え、あれ、ナニこの状況。
***
そして冒頭に戻るわけだ。
まぁ、どんなに神様に過去を悔いたところで戻れるはずもなく、むしろ刻々と非情に時間は過ぎていくだけで。
さて状況を整理しよう。
片方は天下無敵の白い悪魔、外科のファイナルウェポン、微笑みと切り裂きの死神閣下こと私の指導医、サラディン・アラムート外科主任。
そしてもう片方は、サングラスの下を見たら一発で想像妊娠だと噂のルシファード・オスカーシュタイン大尉。立っても座っても歩いてても格好いいとは聞いてたが、押し倒されてても格好いいなんて美形ってすごい。
後から思えば、その時一番すべきことは真っ先にドアを閉じて何も見なかったふりだったのだろうが、その時の私は余りに現実離れした光景に、そして上司の濡れ場未満を見てしまったことにアイディア一つ出てこないほど完璧に脳内フリーズしてしまっていた。どんな荒事面倒度肝を抜く出来事にもそろそろ驚けないだろうと思っていたが、それは大いなる誤りだったらしい。
そして長い長い時間が流れて(実際には三十秒も経っていない)。
己の師から大陸の二つや三つは焼き尽くせそうな殺人光線をびしばしと浴びせられながら、出てきた言葉が。
「……じ、十五分後でよろしいですか?」
大爆笑されました。
一週間夜勤を入れられました。
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